イギリスの料理はまずい？実は美味しい！留学生の食事も紹介

イギリスの料理はまずいって本当？

どこからこの「イギリスの料理はまずい」という噂が広まったのか定かではありませんが、日本では（そして世界的にも？）少なくともイギリス料理が美味しいという評価はなされていないようです。

イギリス人はそもそも食生活にこだわるのか

そもそもイギリス人はどんな物を食べて、どんな物を好んで食べているのでしょうか。

現代イギリス人は多国籍料理で育った！？

イギリス人の友人が面白いことを言っていました。「イギリス料理ってつまり多国籍料理のことかな？私は小さい頃から中華料理とインド料理で育った様なものよ。」

そうなんです。特にロンドンやバーミンガムなどの都市部になると料理もいろんな国の食べ物が溢れており、イギリス料理というよりも外国から来た料理のレストランの方が勢いがあったりします。インド料理店のカレー、中華料理店の餃子や酢豚、トルコのケバブ屋さん、クリスマスマーケットのドイツソーセージなど、日常に根付いた外国出身の料理は数えるときりがありません。

材料の味がそのまま伝わる料理

筆者はイギリスに来てから、上記のような多国籍料理を楽しみながら、同時に生粋のイギリス人家庭でご飯をいただく機会も少なからずありました。その時に感じたのは「イギリス料理って美味しい！」ということと、そして「野菜は茹でるんだ！」ということです。

美味しいと思った料理については記事後半でご紹介していますが、まずはこの材料の味がそのまま伝わる野菜の調理方法について触れたいと思います。

「野菜は茹でる」というのが、多くのイギリス人が素朴に信奉している料理の方法で、それも、日本人がさやいんげんを青くしゃっきりと茹でる、というようなのとは本質的に違い、どの野菜も、延々と、呆れるほど長い時間をかけて（時には重曹入りの湯で）茹でる（林望著「イギリスはおいしい」より引用）

日本では野菜は炒めたり煮たり、蒸したり、日常的に家庭でもいろんな料理法がとられていると感じますが、（少なくとも筆者の印象では）イギリスでは茹でるというのが一般的な野菜の処理の仕方のようです。

味付けはテーブルで

パブなどのイギリスらしいお店にいくと、テーブルには塩やペッパー、酢などの大きな瓶が置いてあります。フィッシュ&チップスのお店に行けば、料理が届いてから、テーブルでわっさわっさと塩を振りかけまくるイギリス人を目にするでしょう。

イギリス料理は味がない、味が薄いというのは、もしかすると、テーブルで自分で味付けしてくださいという暗黙のルールを知らない人が感じたことなのかもしれないと思いました。

イギリス人はフランス人のようにお節介ではないから、お仕着せの味付けを「これが正しい」と言わんばかりに強制しないのだ、すなわち、「味の個人主義」である、と言って弁護する人がある（林望著「イギリスはおいしい」より引用）

正直「美味しくない」と思った料理

多国籍料理やイギリスの家庭料理を食べる中で「イギリスって美味しい！」と思った筆者でしたが、それでも中には驚くべき食べ物との出会いもありました。

アルディで買ったミート缶

これは筆者がスーパーで購入して食べた物の中で一番の衝撃的な商品でした。おそらく、パスタの上にかけたり、ミートパイに入れたりするためのミートだったと思うのですが、缶を開けた瞬間にわかる肉の生臭さに大変驚きました。レモンをかけたり、パンにつけたり、炒めてみたりして半分食べてみたのですが、やはりその独特の匂いは消えず、完食は不可能でした。

イギリス人の友人に話すと、「アルディだからね」と一言。アルディはイギリスで一番安いスーパーです。

普通に売られているサンドイッチ

日本のコンビニのようにスーパーなどで売られている三角形のサンドイッチ。Meal Dealと言って、サンドイッチと飲み物とスナックの3点セットで割引される制度がありますが、このサンドイッチ、美味しい具材のサンドイッチもありますが、中には驚くほど貧相な具材のサンドイッチもありました。

チキンとセサミ（鶏とゴマ）サンドイッチ。鶏の肉の臭みがほのかに香る、そして時間が経ってしおれたパン部分に染み込む水気と申し訳程度のゴマ。これが一般的に商品として出回っていることに驚きました。

でも心配ご無用です。何度かこのDeal Mealでサンドイッチを食べていると、どのサンドイッチはいけるのかいけないのか学習していくことができます。

グリーンピースのマッシュ

とにかくマッシュする（潰す）のが得意なイギリス。バンガーズ・アンド・マッシュポテトのマッシュは有名で美味しいですが、今回紹介するマッシュされた物はグリーンピース。見た目は緑色のマッシュポテトのようです。

味はまずいとまでは行かないのですが（実際、レモンをかけると意外と美味しいです）、問題はその量で、多くの場合これでもかというぐらいの量で提供されることが多く、それには少しぐったりしました。

ベイクドビーンズ

グリーンピースに続きまた豆になりますが、ベイクドビーンズも量が多く飽きる味だと思いました。ベイクドビーンズは、インゲンマメを甘辛いソースと共に煮た料理です（名前はベイクド、蒸し焼きとなっていますが）。味はそこまで悪いわけではないですが、そのビジュアルと豆がそのまま、ということに苦手な人が多いのも頷けます。

一般的にはイングリッシュ・ブレックファーストという料理の中で出てくることが多く、一つの皿にカリッと焼かれたトースト、スクランブルエッグなどの卵料理、マッシュルームやトマトなどの野菜、ベーコンなど肉と共に食べます。

留学生の日常的な食事

バーミンガム大学に院留学をしていた筆者の日常的な食事を紹介します。

大学ランチの定番！ラップ

大学でランチを食べるとなると、スーパーで例のサンドイッチや冷凍パスタのような物を買うか、大学フードコートで例のビーンズたちが乗ったイギリスプレートを食べるか、もしくはカフェやレストランでパンをテイクアウトするか、という選択をすることになります。

筆者の個人的見解では、大学内でのランチの食べ物で一番美味しいと思ったのはカフェなどで売られているラップ（Wrap）です。名前のとおり、トルティーヤで「包まれた」食べ物で、中にはピザ味やバーベキュー味のチキン、チーズが入っていて、美味しいです。

箱に入って売られていることが多く、その場で店員さんに温めてもらって食べます。初めて食べた時、「初めて日本のコンビニレベルの食べ物に出会った！」と、思わず日本人の友人に写真つきで連絡をしたほど美味しかったです。

薄めることが前提のジュース

大きなペットボトルに入ったオレンジジュースとブラックベリーのジュースを買いました。飲んでみるととっても濃く、酸っぱい！おかしいなと思いながら少し水を足したりして数日間気にせず飲んでいました。

そうしてある日、大学での立食イベントに出席した時に、ドリンクバーに置いてあった全く同じペットボトルを目にして、驚きました。参加者たちがそれぞれ自分でコップに少しだけそのジュースを入れて、あとは水で割って飲んでいたのです。笑

日本でいうカルピスのように割って飲むジュースだったみたいです。私からすると至って普通の見た目の大きなペットボトルジュールだったので驚きました。ちなみに「薄める/水で割る」は英語で「dilute（ダイリュート）」といいます。

パスタソースの種類が多い

大学生が自分で手軽に自炊するとなると味方になるのがパスタ。そのパスタにかけるソースもスーパーで沢山目にしました。

後は、日本から持ってきたお茶漬けのふりかけをプレーンパスタの上にオイルと一緒にかけて食べるという秒速料理ハックも友人から教えてもらいました。美味しいのでおすすめです。

ポテチが日本のより美味しい

イギリスにきてから、日本より美味しい！とまず思ったのは、ポテトチップス（イギリスではポテチはCrispsと呼ばれ、Chipsと言うとフライドポテトになります）です。日本のいろんな味や形があるポテチも大好きなのですが、イギリスのポテチはどこかもっと薄くパリッとしていて（crispはパリッとした、いう意味です）、それでいてジャガイモらしい味が残っており、より素朴な美味しさがあると感じました。

イギリスでの一人当たりのポテチ消費量は、なんと日本の約2.4倍!（英国ニュースダイジェストより引用）

イギリス大手の「Walkers」は代表的な伝統ポテチで、ビネガー（酢）や塩味が人気です。スナックとしてだけでなく、料理のサイドメニューとして皿にのせられることもあるほど、イギリス料理の中で重要な役割を果たしています。

食パンは薄くて硬いのがいいらしい

イギリスのスーパーに売ってある食パンは全て薄く切られてあり、日本のように太い食パンは見当たりません。Thick sliceという太めの食パンでちょうど日本のサンドウィッチ用の太さになっていて、それ以外は1ミリや1センチほどの薄さで切られ、売られています。

はじめはその薄さになんで？と思っていましたが、カリッと焼いてチーズやジャムを載せて食べるとなかなか美味しいのですぐに気に入りました。

英語には、主食と副食というような概念が、そもそも無い。（中略）それは主食と言うよりは「何かをのせるための台」と評した方がむしろ適切であろうかと思われる。（林望著「イギリスはおいしい」より引用）

知っておきたいイギリス伝統料理

ここまで日常的なスーパーの食品を中心に紹介してきましたが、イギリスの伝統料理にこそ、美味しくないというイメージがあるのではないのでしょうか。実際はどうなのでしょう。

今回紹介する以下の3つの伝統料理は全て、パブやレストランで食べることができます。

有名な料理！フィッシュ&チップス

イギリス料理といえばフィッシュ&チップスといわれるほど、今や有名なイギリスの伝統料理です。元々、格式高い料理というよりは、テイクアウトをして外でラフに食べるような食べ物だったそうですが、今ではフィッシュ&チップスの専門店も沢山ありますね。

白身魚のフライとお皿いっぱいに盛られたフライドポテト（チップス）に、テーブルで塩と酢を好きなだけ、どうぞ。

伝統料理！サンデーロースト

これはあまり知られていないかもしれませんが、イギリスでは有名な伝統料理で、筆者が個人的に一番好きなイギリス料理です。名前の通り、一般的に日曜日でしか食べることができません。（でもサンデーロースト専門店として、いつでもサンデーローストが食べられるお店もあるらしいです）

主役は名前にもある通りローストされた肉ですが、それと一緒にヨークシャープディングや例の茹でられた人参や野菜たちが提供されます。ヨークシャープディングは、シュークリームのように膨らんだパンのようなもので、筆者はかなり気に入りました。ローストされる肉は豚、ラム、牛や鶏など、お好みで選ぶことができ、特製ソースと一緒にプディングを添えて食べるととても美味しいです。

パブの隠れ名料理！ミートパイ

上記二つに比べると存在感が薄い料理ですが、とても美味しく、ミートパイもおすすめのイギリス料理の一つです。

パイというと、アップルパイのような薄いパイ生地の中に薄く広げられたミートを想像する方もおられるかもしれませんが、イギリスのミートパイはとても分厚く作られます。パイ生地は硬く立体的に焼き上げられていて、ナイフでケーキのように切り分けて食べていきます。ワイン入りの濃いソースをかけて食べるとより美味しいです。

イギリスのご飯は美味しい

ここまで日常から伝統料理まで、幅広くイギリス料理を見てきました。

イギリス料理はまずい？そんなことはありません。結論、イギリス料理は思っているよりももっと美味しいです。もしも、味が薄いと感じることがあったら、テーブルの塩や酢をふりかけましょう！そして、パブで伝統料理も味わってみてください。