イギリスの教育制度・学校制度は日本とどう異なるか
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イギリスの教育制度・学校制度は日本とどう異なるか

この記事では、イギリス(イングランド)での学校制度、教育制度、学校の種類について細かく解説しています。イギリス式教育に興味のある日本やアジア在住の方や、これからイギリスに赴任予定の日本人保護者の方向けの内容となっています。また、日本国内でイギリスの教育制度を採用している英国ボーディングスクールについても紹介しています。

イギリスの学校制度

まずはイギリス(ここでいうイギリスとは、イングランドのことを指します)の学校制度から見ていきましょう。

日本の学校とイギリスの学校の呼び方を比較すると以下のとおりです。

日本

イギリス

幼稚園

NurseryとReception

小学校

Primary School

中学校

Secondary School

高校

Sixth Form

義務教育

イギリスの義務教育期間は5歳から16歳までの11年間で、初等教育が6年間、日本における中学校が5年間となっており、同じ中学校までの義務教育の日本と比べると、義務教育開始年齢が一年はやく、かつ終了年齢が一年長くなっています。中学校までは義務教育であるため、生徒はその間無償で学校へ通うことができ、そのためほとんどの人が自分の住む地域の公立学校へ通っています。

学年

  • イギリスの学年

  • 小学校6年間

  • 中学校5年間

  • 高等学校2年間

小学校(Primary School)は、4、5歳から11歳、13歳を対象としています。

中学校(Secondary School)は11歳、13歳から16歳が対象です。

大体の人はこの義務教育期間の後、追加で2年間学校へ通います。この2年間がシックス・フォーム(Sixth Form)と呼ばれている期間で、ちょうど日本でいうところの高等学校と同じ位置付けとなっており、その後大学へ進学することになります。 シックス・フォーム(Sixth form)は、16歳〜18歳が対象です。

以下は、日本の学年・年齢との比較表になります。

年齢

日本

イギリス

3-4

年少(幼稚園・保育園↓

Nursery(Nursery School

4-5

年中

Reception(Primary School↓

5-6

年長

Year 1 Key Stage 1↓

6-7

小学校1年生(小学校↓

Year 2

7-8

小学校2年生

Year 3 Key Stage 2↓

8-9

小学校3年生

Year 4

9-10

小学校4年生

Year 5

10-11

小学校5年生

Year 6

11-12

小学校6年生

Year 7(Secondary School↓
Key Stage 3↓

12-13

中学1年生(中学校↓

Year 8

13-14

中学2年生

Year 9

14-15

中学3年生

Year 10 Key Stage 4↓

15-16

高校1年生(高校↓

Year 11 GCSE/IGCSE取得

16-17

高校2年生

Year 12(Sixth form↓

17-18

高校3年生

Year 13 A-level/IB取得

イギリスの教育制度

イギリスの生徒は、Secondary School(中学校)の最後に国家試験GCSE(General Certificate of Secondary Education)を受けます。このGCSEは義務教育を締めくくる試験で、日本における中学卒業資格にあたります。(ただし厳密には「中等教育修了資格」であるため、国によっては高校卒業資格とする場合もあります)

この受験で選んだ科目や成績によってその後の進路が変わります。大学進学希望者はシックス・フォーム(Sixth Form)へ進学し、就職希望者は資格取得のための専門学校へ進学したり、または働きながら資格の取得ができるアパレンティス制度に参加したりします。

日本と比べると、イギリスでは中学校という早い段階から将来の進路が決定されていきます。

イギリスの幼児教育

まずは小学校までの幼児教育から見ていきましょう。年齢でいうと3歳から5歳の子供が幼児教育を受けます

イングランドでは、3〜4歳の子供は週に15時間までは無料で保育園へ通わせることができますが、それ未満の年齢の場合は自己負担で保育園へ通わせることになります。

世界的に見てイギリスの保育園代はとても高く、自己負担で保育園(Nursery School)へ通わせられる家庭は限られており、そのため母親が仕事へ復帰しづらいなどの問題があります。ただし、2024年の法律改定で2歳の子供でも週11時間の無料保育へ通わせられるようになるなど、少しずつ改革されています。

小学校入学は満5歳(9月時点)からになりますが、その一年前の満4歳の9月になると「レセプション(Reception)」と呼ばれる準備期間に入り、フルタイムで小学校に通うことができます。レセプションはYear 0とも呼ばれています。4歳である間は親の判断でパートタイムで通わせたり途中入学させたりすることも可能ですが、満5歳になった子供はレセプションに通わせることが義務となっています。

イギリスには公立保育園の他に、私立の保育園やChildminderと呼ばれる少人数集団ベビーシッターのような制度などもあり、様々な選択肢があります。

イギリスの初等教育

イギリスの初等教育

イギリスの小学校は通常Elementary SchoolではなくPrimary Schoolと呼ばれており、5歳から11歳の生徒が通います。日本と比べると小学校の開始年齢が一年はやくなっています。

イギリスの初等教育では、読み書きやフォニックス(英語の発音とスペリングの関係についての学習)、基礎計算など、それぞれの科目の基礎になる分野をしっかりと確立することが目指されています。初等教育はKey Stage 1とKey Stage 2と呼ばれる2つの段階に分けられています。

Key Stage 1(5〜7歳

Year 1〜2(日本でいう幼稚園年長〜小学1年生)

Key Stage 2(7〜11歳)

Year 3〜6(日本でいう小学2年生〜小学5年生)

初等教育での必修科目は以下です。

  • 必修科目

  • 国語(つまり英語)

  • 算数

  • 理科

  • デザインとテクノロジー

  • 歴史

  • 地理

  • 芸術とデザイン

  • 音楽

  • 体育

  • コンピュータ

  • 古典と現代外国語(Key Stage 2から)

イギリスの中等教育

イギリスの中等教育

イギリスの中学校はSecondary Schoolと呼ばれており、11歳から16歳の生徒が通います。

中等教育はKey Stage 3とKey Stage 4と呼ばれる2つの段階に分かれています。Key Stage 3の最後の年Year 9(日本でいう中学2年生)になると、自身の興味に合わせた科目を履修し、より専門的な内容を学ぶことができるようになります。

Key Stage 3(11〜14歳)

Year 7〜9(日本でいう小学6年生〜中学2年生)

Key Stage 4(14〜16歳)

Year 10〜11(日本でいう中学3年生〜高校1年生)

Key Stage 3での必修科目は以下です。

  • 必修科目

  • 国語(つまり英語)

  • 数学

  • 理科

  • 歴史

  • 地理

  • 現代外国語

  • デザインとテクノロジー

  • 芸術とデザイン

  • 音楽

  • 体育

  • 公民

  • コンピュータ

GCSE | 中等教育修了資格

GCSE | 中等教育修了資格

Key Stage 4からは、GCSEを受けるためのカリキュラムが始まります。

Key Stage 4での必修科目は以下です。

  • 必修科目

  • 国語(つまり英語)

  • 数学

  • 理科(生物学、化学、物理学)

上記の必修科目に加え、美術や人文科学などの選択科目の中から、自分が目指す大学や将来就きたい職業を見据えて5〜6の選択科目を履修します。選択科目は学校によって異なりますが、一般的なものは以下のようになっています。

  • 選択科目

  • 人文科学 (歴史、地学、古代文明学、ビジネス、経済学、宗教学)

  • 現代外国語 (フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、中国語、日本語、アラビア語、ロシア語)

  • 古典 (ラテン語、ギリシャ語)

  • 芸術 ( 美術、デザイン・テクノロジー、音楽、ダンス、演劇、メディア)

  • コンピュータ

  • 体育

試験は主にエッセイ(論文)形式ですが、芸術関係科目は筆記試験のほかにコースワークと呼ばれる課題作品の提出が求められることもあります。イングランドの学校の場合、GCSE試験の結果発表は毎年8月後半となっています。ちなみに、GCSEはいつでも取得する事ができ、優秀な生徒の場合小学生から取得する事もできます。

参考:https://www.gov.uk/national-curriculum/key-stage-3-and-4

シックス・フォーム(Sixth Form)

シックス・フォーム(Sixth Form)

GCSEを終え、良い成績を収めることができたら、その後に進むのがこのシックス・フォーム(Sixth Form)と呼ばれる、大学進学希望者に向けた学校やカレッジです。日本における高等学校にあたります。16歳から19歳の生徒が通い、A-Level(Aレベル)と呼ばれる高等教育資格を取得するために2年間学びます

A-Level(Aレベル)| 高校卒業資格および大学入学資格

A-Level(Aレベル)| 高校卒業資格および大学入学資格

A-Levelはイギリス国外でも認められている国際的な教育資格で、高校卒業資格及び大学入学資格です。通常3〜4の専門科目を選択し、受験します。

ポイントは、A-Levelは日本における公立大学入学資格の一つであるセンター試験とは違い、受験科目ごとに付与される「資格」であるということです。例えば、ある大学の応募条件で「A-Levelを3つ以上(つまり3つ以上の科目)取得している学生」と書いてあったり、「特定の科目においてA-Levelを取得していること」と記載されていたりします。

また「資格」であるため、大学入学だけでなく就職においてもA-Levelの成績を確認されることもあるなど、かなり重要な試験となっています。

IGCSEって何?

GCSEについては上記で解説しましたが、では IGCSEとは何なのでしょうか。IGCSEは、International General Certificate of Secondary Education、つまり「国際」中等教育修了資格です。

GCSEをベースに作られた、海外向けのGCSEカリキュラムになっており、主にイギリス国外のインターナショナル校で利用されています。内容はGCSEよりも高度であると言われており、実際にイギリス本土の有名校では、あえてIGCSEのカリキュラムで教育している場所もあります。

CAT 4とは? 

CAT 4テストは、イギリスとアイルランドにおいて広く利用されているIQテストで、6歳から17歳まで(つまり小学1年生から高校3年生まで)と幅広い対象年齢となっています。

主に、中等教育学校への入学・編入のための入試に用いられることが多く、日本国内のイギリス系インターナショナル校でも広く利用されています。

C=Cognitive、A=Ability、T=Test、4=Ver.4の略称としてCAT 4と呼ばれており、「言語的推論力、数量的推論力、非言語的推論力、空間的推論力」の4つの分野での力を測るテストとなっています。言葉の分類や図形分類の問題、図形解析や数字の規則性を見つける問題など、言語的能力と空間的能力を測るIQテストとなっています。

イギリスの学校の種類

イギリスでは、公立校・私立校・有名私立校と、学校の種類によって教育水準やその先の進路が変わってきます。

大学進学希望者にとって中学校(Secondary School)の選択はその後の高等学校(Sixth Form)や大学の選択にも大きく関わってくるため、特に重要なものとなっており、そのため、中学校から受験をして優秀校への入学を目指す学生が多いです。

ただ、小学校・中学校・高等学校のどのタイミングで受験(または転入)するのかは人によって差があり、中には7、8歳からパブリック・スクールへ入学し、そのまま高等学校まで同じ学校で過ごす人もいます。しかし留学生は16歳から18歳までのシックス・フォーム(Sixth form)からの入学が一番多い形になっています。

イギリスの公立校

イギリスの公立中学・高等学校には主に以下3つの種類の学校があります。

  • コンプリヘンシブスクール(Comprehensive School)

  • 地域に根ざした学校。学力による選抜を行わず、すべての生徒に幅広くバランスのとれた教育を行うことを目的としている。

  • グラマースクール(Grammer School)

  • 入学選抜試験を通じて生徒を選抜。コンプリヘンシブスクールに比べると高い教育水準を保っているため、優秀な生徒が目指す、入学が難しい学校となっている。公立校であるため、資金は地元の自治体の資金によって運営されている。日本でいうところの公立進学校。

  • アカデミー(Academy)

  • 2000年にうまく機能していない公立校を改革するために新しく作られた学校。公立校ではあるが、地方自治体から独立して運営されている学校。そのため、教育課程、学期期間、学費などが他の公立校とは異なる。

英国国教会やカトリック教会への所属の有無によっては、クリスチャン系の公立校へ通う場合もあります。

イギリスの私立校

イギリスには約2,600校の私立校があり、イギリスの全生徒の約6.5%にあたる62.5万人が通っています。特徴としては、イギリスの学習指導要領に沿う必要がないため独自の教育をしていること、1クラスの人数が少なくより手厚い教育が受けられること、そして授業料が高額であることがあげられます。

イギリスの私立校には主に以下3つの種類の学校があります。

  • インディペンデント・スクール(independent school)

  • その名の通り、独立した学校。運営のための財源を国や地方自治体、宗教団体に頼らず、授業料や寄付だけで補っている私立校。

  • プライベート・スクール(private school)

  • 日本の私立校とあまり変わらない立ち位置の、独自の教育方針を持った学校。教育水準や入学難易度は学校によって異なる。

  • パブリック・スクール(public school)

  • 私立校の中でも特に教育水準が高く、学費も高い、いわゆる上流階級のための「名門私立校」。(パブリックというと公立校と誤解する人もいるかもしれませんが、公立という意味はありません。)英国王室のウィリアム王子の母校である「イートン校」やチャーチル首相の母校「ハロウ校」もこのパブリック・スクール。そのほとんどがボーディング・スクール(全寮制学校)となっている。

特徴的な学校生活ボーディング・スクールとは?

ボーディング・スクールというのは、全寮制学校のことをいい、イギリス全土に公立・私立合わせて525校あります。公立校は約40校、私立校は約460校となっており、ボーディング・スクールのほとんどが私立校であることがわかります。

ボーディング・スクールは英国政府が定める厳しい条件(学校設備や教育水準、生活規律など)を満たす必要があり、その分教育水準が高くなっています。特に、パブリック・スクール(名門私立校)のボーディング・スクールには、全イギリス・世界から優秀で裕福な子供が入学する傾向にあります。

ボーディング・スクールには男子校、女子校、共学校があります。共学の場合は、授業は男女一緒に受けますが、寮は男女別になっています。また、いくつかの寮を持って、各寮に高学年の生徒の寮長をおき、生徒が学年縦割りで共同生活をして交流できる環境を作っている学校もあります。

日本国内でイギリス式教育を受ける

ここまでイギリスにおける教育制度と学校の種類を紹介してきましたが、実は、日本国内でもそのイギリス式の教育を英国系インターナショナル・スクールで受けることができます。近年は、有名私立校であるパブリック・スクールも、インターナショナル・スクールとして日本を含むアジアの国々で、次々と誕生しています。

先ほどパブリック・スクールの項目でも紹介したチャーチル首相の母校、ハロウ校は岩手でハロウ安比校を開校しており、日本ないしアジア初のボーディング・スクール(全寮制学校)として、注目を集めています。また、このハロウ安比校を皮切りに、ラグビー校など他の英国パブリック・スクールも次々に日本へ上陸し、イギリス式の教育の中でも特に高水準のイギリス教育が受けられる場所が増えてきました。

一般的にそういったパブリック・スクールのインターナショナル校では、11歳から18歳の生徒を世界から受け入れており、そこではイギリスの生徒と同様にIGCSE、A-Levelの取得を目指すことができます。日本にいながらも本校の環境さながら、世界からのエリート留学生と交流し、留学のような学びを得ることができます。

イギリス式教育の最大のメリット

イギリスでの教育、「学校制度」「教育制度」「学校の種類」について見てきました。

  • イギリス式教育まとめ

  • 義務教育期間:5歳から16歳までの11年間、中学校まで

  • 学年区分:小学校6年間・中学校5年間・高等学校2年間

  • 小学校:Key Stage 1と Key Stage 2と呼ばれる2つの段階

  • 中学校:中等教育修了資格であるGCSE取得を目指す

  • 高校(シックス・フォーム):高校卒業資格であるA-Level取得を目指す

  • イギリス式教育は日本でも受けられる

イギリス式の教育の最大のメリットとしては、早い段階から進路を見据えて科目選択できることがあげられます。イギリスでは日本と比べると、義務教育開始年齢が一年はやく、かつ終了年齢が一年長くなっており、この中学終了までの間に将来に進んでいく進路を考え科目選択をするため、高校では自分の興味関心にあった科目にしぼって、より専門的な学びをすることができます。

イギリス式の教育を受けたい方はご相談を

「新しい時代の留学」では、一人一人にとってベストな留学を見つけるお手伝いをしています。

現地でどんなイギリスの教育を受けたいのか、どんな学校へ進学するのが自分にとって(お子さんにとって)ベストなのか、一緒に考えていきましょう。また、日本国内でイギリスの教育を受けることにご興味がある場合も、日本国内のイギリス系インターナショナル校と提携をしていますので、ご質問にも広くお答えすることができるかと思います。

この記事を書いた人

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編集部

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