アメリカの教育制度・学校制度は日本とどう異なるか
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アメリカの教育制度・学校制度は日本とどう異なるか

この記事では、アメリカでの「学校制度」「教育制度」「公立校と私立校の違い」「学校プログラム」について細かく解説しています。アメリカ式教育に興味のある方や、これからアメリカに赴任予定でアメリカ式教育の知識を深めたい方向けの内容となっています。

アメリカの学校制度

アメリカは、州や学区によって学年区分や教育内容が違うのが特徴です。

まずはアメリカの学校制度から見ていきましょう。日本の学校とアメリカの学校の呼び方を比較すると以下のとおりです。

日本

アメリカ

幼稚園

Day-care Center
Pre-School

Pre-kindergarten

(Kindergarten)

小学校

(Kindergarten)

Elementary School

中学校

Middle School

高校

High School

義務教育

アメリカの義務教育期間は州によって多少違いますが、一般的に5歳から18歳までの13年間となっています。日本の幼稚園の年長にあたる歳から始まり(グレードK: Kindergarten)、日本の小学校から高校にあたるK1〜12へと続きます。日本と比べると義務教育開始年齢が一年はやく、また高校までと長くなっています。そのため、公立高校であれば授業料は無料で、教科書も無償で支給されます。

*Kindergartenが義務教育に入らない州もあります。

学年

  • アメリカの学年

  • 学年区切りは州によって違う

  • 飛び級ができる

学年の振り分けも州によって多少異なり、小学・中学・高等学校を分ける方法は8–4年制、6–2-4年制、5–3–4年制など州によって様々です。(ちなみに、日本の 6-3-3制の学校制度は、戦後アメリカのGHQによって持ち込まれたものです。)

ただ学年の呼び方は州が違ってもほとんどの場合同じで、小学校から高等学校までの12年間は1st Grade〜12th Grade(K-1〜K-12)というように呼ばれています。また、アメリカでは大学入学における年齢制限がなく、優秀な生徒は飛び級を行うことが可能です。

以下は、日本の学年・年齢との比較表になります。(6-2-4年制の州の場合)

年齢

日本

アメリカ

5

年長(幼稚園)

(Elementary Schoolに併設されている)Kindergarten

6-7

小学校1年生(小学校↓)

(Elementary School↓)
1st Grade

7-8

小学校2年生

2nd Grade

8-9

小学校3年生

3rd Grade

9-10

小学校4年生

4th Grade

10-11

小学校5年生

5th Grade

11-12

小学校6年生

6th Grade

12-13

中学1年生(中学校↓)

(Middle School↓)
7th Grade

13-14

中学2年生

8th Grade

14-15

中学3年生

(High School↓)
9th Grade:Freshman

15-16

高校1年生(高校↓)

10th Grade:Sophomore

16-17

高校2年生

11th Grade:Junior

17-18

高校3年生

12th Grade:Senior

*各学年の呼び方として、略称でKindergartenをK、1st Grade〜12th GradeをK-1〜K-12とも呼びます。

アメリカの教育制度

アメリカの義務教育は高校までとなっており、日本と比べると長く設定されています。

また、通学せずに家庭で学ぶホームスクーリングをすることができたり、優秀な生徒は飛び級ができるため、それぞれの個人に合わせた柔軟な教育方法を選択することができるのも特徴です。

また、高校生でも飛び級で大学へ通える反面、学力に遅れがある場合は義務教育期間であっても留年することになり、アメリカの教育では、あくまでも個人個人の能力と学習スピードに合わせた教育を行っていくことが目指されています。

アメリカの幼児教育

まずは小学校以前(Kindergarten以前)の幼児教育から見ていきましょう。

アメリカで親が未就学児を預けられる場所としては、デイケア(Day Care)やプリスクール(Preschool)、コープ(Co-op)、プリK(Pre-Kindergarten)などがあります。

  • デイケア(Day Care)

  • 一般的に1〜2歳までの子供を預けられる(0歳から受け入れているところもあるが、1歳まではナニー(乳母)を雇うのが一般的)。州に認可されている学校や個人宅で運営されている。時間単位から半日や1日単位で子供を預けられる場所。親の都合に柔軟に対応できるのがメリットである反面、安定して通わない子供にとっては友達を作りにくい、子供を預かることにフォーカスを置いているため教育的要素がない、などのデメリットもあります。

  • プリスクール(Pre-school)

  • 学校によって受け入れ年齢が異なり、生後6週間〜4歳など様々。基本的には民間運営の学校。早期教育を行っている学校もあります。プレスクールの中にはコープ(Co-op)と呼ばれる、親が交代で面倒を見る学校もあり、素人が面倒を見るためしっかりした教育がのぞめない反面、学費は安くなっています。

  • プリK(Pre-Kindergarten)

  • 基本的に4〜5歳児を受け入れる学校。日本の幼稚園年中にあたり、小学校併設のKindergartenへ入る準備をする。預かる時間は学校によって異なる。

アメリカの初等教育

アメリカの初等教育|イギリスの教育制度・学校制度は日本とどう異なるか

アメリカの小学校は通常Primary SchoolではなくElementary Schoolと呼ばれています。アメリカの初等教育は通常、このElementary Schoolの期間とその一年前のKindergartenの期間を指します。

Kindergartenは日本でいうところの保育園年長、満5歳の子供が通う学校で、一般的に小学校に併設されており、子供は進学予定の小学校のKindergartenへ就学します。Kindergartenでの一年は小学校のための準備と位置付けられており、ここから読み書きや算数などの教育が本格的に開始されます。就業時間は小学生と同じです。日本に比べると一年早い年齢での初等教育の開始となっています。

Kindergartenを終えると、小学校(Elementary School)へ進みます。小学校の期間は州によって違いますが、小学校には大体5〜8年間通います。

初等教育における必修科目も州によって違いますが、以下のような科目となっていることが多いです。

  • 一般的な科目

  • (必須科目)英語読解

  • (必須科目)英語書き(英語のスペリング)

  • (必須科目)算数

  • 理科

  • 社会

  • 体育

  • 音楽

  • 美術

  • STEM科目

時間割というものは基本的に小学校の間には存在せず、各先生がフレキシブルに決めて変更できる形になっており、基本的には上記の必修3科目と特別授業、後は先生の裁量で追加の補修があったりします。後は、各州の教育委員会が特別に設定した科目(理科や社会など)があればそれも追加されます。そして公立か私立か、宗教系の学校かによっても内容が変わってきます。

小学校の間は、ホームルーム教室に先生がやってくる授業体制になっています。

STEMとは

上記の科目ででてきたSTEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Math(数学)の領域を指した言葉で、科学・技術・工学・数学の教育分野を総称する語です。オバマ政権下でアメリカの産業競争力を上げるために国家戦略として位置づけられた科目群でもあります。

アメリカの中等教育

アメリカの中等教育|イギリスの教育制度・学校制度は日本とどう異なるか

Elementary Schoolを卒業したら、次はMiddle Schoolへ進学します。基本的には、自分の住んでいる地域の学校区の学校へ進みます。州によって変わりますが、大体2〜3年中学校へ通うことになります。

中学からは先生がホームルームへ来るのではなく、自分が選択した授業の教室へ移動する体制へと変わります。宿題もホームルームごとではなく科目ごとに出されていくことになるため、自己管理能力と自主性がより求められるようになります。

また、中学からレベル別のクラス分けがあったり、優秀な生徒はレベルの高い授業を取ることなどができるなど、より一人一人のレベルに合わせた科目履修になっていきます

アメリカの高校

アメリカの高校|イギリスの教育制度・学校制度は日本とどう異なるか

アメリカでは高校も義務教育のため、基本的に中学校と同じように、住んでいる地域の学校区の高校に進みます。アメリカの高校へは、一般的に4年通います。9th GradeをFreshman、10th GradeをSophomore、11th GradeをJunior、12th GradeをSeniorと呼びます。

アメリカのHigh Schoolでは大学と同じ単位制となっているため、ホームルームはなく、そして学年の隔たりもなくなり、9年生から12年生が同じクラスで受講することになります。

High Schoolになると大学進学に向けた科目履修になるため、選択科目のバリエーションも増え、授業はより専門的になります。それぞれの学生がそれぞれの希望大学・希望専攻に合わせた科目の単位を取得していくことになり、大学受験のための統一試験SAT試験に向けて準備をしていきます。

また、大学入試の際には一般科目の成績だけでなく、ボランティア活動や部活動、コンテストなどの課外活動も評価されるため、特に有名大学へ進学を希望する学生は、高校生活のうちに計画的に単位をとり課外活動を進めることになります。

SATテストとは

SATテストとは|アメリカの教育制度・学校制度は日本とどう異なるか

SATとは、アメリカの教育機関が運営している、大学受験のための統一試験です。ただ、日本のセンター試験とは違って、大学出願締め切りまで何度も受けることができ、その中で一番良い点数のものを提出することができます。いうなれば、TOEICやIELTSなどの資格試験に近い形となっています。

また、SATテスト結果の提出を必須としている大学は少なく、任意提出となっている大学が多いです。そのため、アメリカの大学入試においてSATテスト結果は入学審査全体のうちの一項目でしかなく、重要なのは高校時の成績と課外活動となっています。

SATテストはReasoning Testといって、基礎学力を測る試験となっています。内容は以下のとおり2科目、各200〜800点満点となっています。試験時間に対し問題数がとても多いため、いかに素早く、効率よく解いていけるかがポイントとなっています。

Reading  

Math

・Critical Reading(52問、65分)
・Writing and Language(44問、35分)

・Non-Calculator(20問、25分)
・Calculator(20問、55分)

*以前は科目学力を測る Subject Testも受ける必要がありましたが、2021年に廃止されました。

アメリカの公立校と私立校の違い

アメリカの学校には大きく分けて、公立校と私立校があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

アメリカの公立校

アメリカは高校までが義務教育であるため、公立高校であれば、高校まで無料で学校へ通うことができます。ただし公立高校は地区によって教育水準が大きく異なり、大学進学を目指すことが難しい公立高校から、逆に、有名大学進学者が多い公立高校もあります。基本的に入学できる公立校は住居地によって決定するため、子供が公立校に通うことを見越し、わざわざ良い公立校がある地域を選んで住む家庭も多いです。

アメリカの私立校

私立高校は、そのほとんどが大学進学のための、いわゆる「進学校」です。大学への準備という意味でPreparatory School(Prep School)と呼ばれることもあります。公立校に比べ質が高く、より多様な教育プログラムを提供している傾向があります。私立高校の中には、寮制の「ボーディングスクール」があったり、芸術や課外活動に力を入れている学校や、宗教系の学校もあります。ただし授業料はかかります。

それぞれの学校が独自の入学試験を行い、独自のカリキュラムを設けています。私立校に共通する特徴としては、文武両道やリーダーの育成に力を入れていることがあげられます。勉強に加えてクラブ活動やそのほか課外活動も活発で、その分生徒たち個人個人の強みを見つけたり、リーダーシップを発揮する機会がより多く設けられています。これらの活動経験は全て、大学入試の際にもとても重要になってくるので、私立校の生徒はおのずと良い大学へ進学することが多くなっています。

アメリカの多様な学校プログラム

移民の国、そして自由の国と言われるアメリカでは、それぞれの個人に合わせた豊富なプログラムやサポートが学校に用意されていることが多いです。

  • ESLプログラム(English as a Second Language) / ELD(English Language Development)

  • 英語を第二言語として勉強する生徒のための英語教育プログラム。小学校から大学まであり、正規プログラムと並行して履修が可能。

  • 特別支援学級(Special Education)

  • 学習面において、他の生徒に比べて遅れている生徒をサポートするプログラム。

  • 個別学習プログラム(IEP:Individualized Education Program )

  • 教師や専門家チームによる、個人個人に合わせた個別学習プログラム。学習障がいや発達障がいを持った子ども達のためにも、個々に教育計画が作成され、個別の教育プログラムが無償提供される。

アメリカにはIDEAと呼ばれる個別障がい者教育法があり、障がいがある子ども達が個別に最適な教育支援を無料で受けるための法律が定められています。

  • ギフテッド教育(Gifted Education)

  • 算数や芸術などのさまざまな分野において、特別な能力を持っている生徒をさらに伸ばすためのプログラム

他の教科であまり良い成績でない子供でも、特定の科目だけ飛び抜けて優れている場合など、それぞれの子供の「強み」を伸ばすのがアメリカ教育の特徴となっています。

アメリカ式教育の最大のメリット

アメリカでの教育について、「学校制度」「教育制度」「公立校と私立校の違い」「学校プログラム」について見てきました。

  • アメリカ式教育まとめ

  • 義務教育期間:一般的に5歳から18歳までの13年間(州によって誤差あり)、高校まで

  • 学年区分:8–4年制、6–6年制、5–3–4年制など州によって様々

  • 小学校:Kindergartenで準備をしてElementary Schoolへ進む

  • 中学校:自分が選択した授業の教室へ移動する体制へと変わる

  • 高校:単位制になり、学年関係なく同じ授業をとる。

  • 大学入試:SATと呼ばれる統一試験もあるが、高校時の成績と課外活動が特に重要

アメリカの教育の最大のメリットとしては、個人にあった教育方法をかなり自由に選ぶことができることがあげられます。そもそも学校へ通わないホームスクーリングという選択肢から、学校での多彩なプログラムまで、それぞれの個人が自分にあった教育方法を柔軟に選ぶことができます。また、平均的に全教科を伸ばすというよりも、「強み」を伸ばすことが目指されているのも、その教育の魅力の一つです。

アメリカ式の教育を受けたい方はご相談を

現地でどんなアメリカの教育方法や学校プログラムを選ぶのか、どんな学校へ進学するのが自分にとって(お子さんにとって)ベストなのか、一緒に考えていきましょう。

また、日本国内でアメリカの教育を受けることにご興味がある場合も、日本国内のインターナショナル校とも提携をしていますので、ご質問にも広くお答えすることができるかと思います。

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この記事を書いた人

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新しい時代の留学
編集部

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