イギリスの本屋を大解剖！

イギリス大手書店

まずはイギリス全国に支店がある大手書店、WaterstonesとFoylesから見ていきましょう。

Waterstones

ウォーターストーンズと呼ばれるこの書店は、イギリス、アイルランド、そしてヨーロッパ各地に店舗があり、イギリス国内では311店舗あります（2024年現在）。ロンドン、オックスフォード、バーミンガム、リーズ、マンチェスターなどの都市部には必ず存在する本屋さんです。クラシック文学から近代文学、漫画、ボードゲーム、研究書まで幅広く取り揃えており、日本でいうところの紀伊国屋書店やジュンク堂書店に近い本屋さんです。

店内にカフェが併設されているところも多く、本を購入した後すぐにコーヒーを飲みながら読書することもできます。店舗によって本の置き方が違ったりその地域の特集テーブルが作られていたりして面白いので、筆者がイギリス国内で新しい都市にいく場合は毎回立ち寄る本屋さんの一つです。それぞれの都市の街中で大きく店を構えている印象があります。

店員さんがとてもフレンドリーで、手に取った本について軽く話をしてくれたり、好きな本を伝えるとそれに似た本で新しい作家を紹介してくれたりします。

Foyles

フォイルズと呼ばれるこのお店も上記Waterstonesと同様に全国にシェアがある大手本屋チェーンです。元々は家族経営の老舗なのですが、実は2018年にWaterstonesに買収され合併されました。それでもFoylesとしての特徴を失うことなく成長しています。

Foylesではニッチなジャンルを深く取り扱っている傾向があり、例えばスポーツ選手の自伝やミステリー小説など、Waterstonesに比べると比較的狭く深く扱っている印象があります。

駅や空港などでよく見かける本屋さんです。

イギリス独立系有名店

さて次は大手チェーンの書店に比べると店舗数が少なかったり、個人経営の書店を見ていきます。今回は、独立系書店の中でも特に有名なお店を選りすぐりでご紹介します。

Daunt Books | ロンドン

このお店はイギリス国内はもちろん日本でも有名で、トートバックをお土産で買って帰る人も多くいるお店です。独立系と言っても、他の独立系書店とは一線を画しており、ロンドン市内にはこの名前をもつお店が7つあり、出版業もしています。

実はこのDaunt Booksの創業者であるJames Dauntは、2010年からWaterstonesのディレクターを務めており、大手チェーンとの関係が多いにある独立系書店となっています。

本好きから愛されている本屋で、特に本店のDaunt Books Maryleboneは内装も美しく、人気です。

Word on the water | ロンドン

この本屋さんはなんと、船の中が本屋さんになっており、名前のとおり水上書店となっています。本の数は少ないですが、船の中に並べられた本棚はとても素敵で、ロンドンを訪れる際にはぜひ立ち寄ってみてください。

Brick Lane Bookshop | ロンドン

Brick Laneと呼ばれる、古着屋やセレクトショップなどが立ち並ぶ、若者に人気のお洒落な通りにある本屋さんです。置く本の選定にも定評があり、筆者がバーミンガム大学でお世話になった教授もこの本屋さんいいよね！と言っていました。

Southbank Centre Market | ロンドン

これはロンドンのWaterloo橋下にある古本市で、週末開催されています。テムズ川を眺めつつ橋の下でゆっくりと本を選ぶ、素敵な週末のひとときにおすすめです。外の書店なので、夏は特に気持ちいいと思います。

Book Hive | ノリッジ

ロンドンから電車で約2時間の街、ノリッジ。文学の街ともよばれ、作家やアーティストが多く住む街ですが、そこにある書店Book Hiveは英ガーディアン紙でも紹介されるなど、イギリスの読書好きたちの間ではかなり有名です。

緑の円形の外観の美しい書店です。2階まであり、大手書店ではあまり中心に置かれていないような良書なども目立つところに置いてあったりと、他の書店ではあまり手に取らないような本との出会いを楽しむことができます。

12 of the UK’s best independent bookshops, chosen by readers；A real treat is the way the owners arrange or display ever changing recommended titles by writer, category or themes, with handwritten notes on show highlighting key pleasure points of books. 

読者が選ぶトップ12のイギリス独立書店；本当に素晴らしいのは店主によって日々更新されてゆく本の配置で、作家・カテゴリ・テーマ別に分けられており、手書きのメモで本の魅力が紹介されています。

（英ガーディアン紙より引用、筆者訳）

Voce Books | バーミンガム

筆者が住んでいるバーミンガムにある書店、Voce Books。バーミンガムにゆかりのある作家や、今はあまり有名ではないがこれから有名になりそうな注目の作家など、自分にとって気になる作家を見つけることができそうな書店です。こじんまりとしたお店なので、本を一つ一つじっくり全部見た上で本を選ぶことができるのも魅力の一つです。

イギリスの本屋さんはお洒落でポップ！

日本の本屋さんは比較的落ち着いた雰囲気で本がきっちりと並べられていることが多いと思いますが、それに比べイギリスの本屋さんは本がよりランダムに置かれていたり、本の表紙がカラフルであったりと、よりポップな印象を受けます。

トートバック・エコバックがかわいい？

上記でも少し触れましたが、イギリスの本屋でトートバック・エコバックを購入して旅行のお土産にするのもおすすめです。特にDaunt Booksのトートバッグはイギリス国内でも人気で、ロンドン以外の都市でもそのトートバッグを持った人をよく目にします。

お気に入りのイギリスの書店を見つけて、そこのトートバッグを日常使いするのも素敵ですね。

イギリスでは日本・アジア文学が今流行中？

筆者は2023年夏からイギリスに滞在していますが、書店には月に4回以上通っています。そうして気づいたのが、日本やアジア文学の人気が増してきている、ということです。

日本文学の英語訳出版が想像以上に多く、驚きました。太宰治、三島由紀夫、夏目漱石などのクラシックな文豪から、現代の作家である村上春樹さんや吉本ばななさんの本も数多く置いてあります。

日本文学以外にも韓国文学や中国文学なども多く取り扱われており、時々テーブル1つが日本・アジア文学で埋まって紹介されてあることもあるほどです。

英語で本を読んでみる

初めて英語で本を読む人に筆者がおすすめしているのは、まずは日本の小説の英語翻訳本から始めてみる、ということです。外国語で本を読む際に立ちはだかる壁として、まず言語的な難しさがあるのはもちろんですが、それ以上に大きな壁となるのが文化的な違いです。その物語が語られる国、場所でどんな行為がどんな風に受け取られるのか、どんな言い回しがどんな状況で使われているのか、そういう文化的な違いによって物語に没入することが難しく感じられることがあります。

まずは文化的に理解が深い日本文学から英語での読書を始めることで、言語的な違いだけに集中して挑戦できるので、おすすめです。

イギリスの本屋さんで英語の本を手に取ってみては？

ポップで素敵なイギリスの本屋さんで英語の本を手にとって、可愛いトートバッグと共にお土産・旅の友にするのはどうでしょうか。初めての洋書なら、今イギリスで注目されている日本文学から始めてみるのもいいでしょう。