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IELTSとは?試験の種類・日程・受験料など基本情報をみてみよう

IELTS(International English Language Testing System)の基礎情報をまとめました。これから留学へ行きたい方や、そもそものIELTSという試験について知りたい方、IELTSのテスト形式をざっと把握したい方などにおすすめの記事となっています。

  1. 目次

  2. IELTSとは?

  3. IELTSの試験の種類

  4. - IELTS AcademicとIELTS general training

  5. - IELTS for UKVI

  6. IELTSのテスト内容

  7. - Writing / ライティング

  8. - Reading / リーディング

  9. - Listening / リスニング

  10. - Speaking / スピーキング

  11. IELTSのスコア

  12. IELTSの試験方法と日程

  13. IELTSを受けるメリット

  14. IELTSのおすすめ参考書・勉強法

  15. 最後に

IELTS(International English Language Testing System)とは?

IELTSとは、ブリティッシュ・カウンシルとIELTSオーストラリア・ケンブリッジ大学英語検定機構が共同で運営し、世界140ヵ国の1,600以上の会場で受験することができる試験です。

海外留学や研修のために英語力を証明する場合や、イギリス・オーストラリア・カナダなどへの海外移住申請をする場合などに使うことができます。

イギリス・オーストラリア・カナダ・ニュージーランドのほぼ全ての高等教育機関で認められており、近年はアメリカでもTOEFLに加えてIELTSも認める高等教育機関が増えてきました。

IELTSの試験の種類

IELTSの試験には、アカデミック・モジュール(IELTS Academic)とジェネラル・トレーニング・モジュール(IELTS general training)の2種類があります。またそれに加えて「IELTS for UKVI」という英国ビザの取得を目的とした、より厳格化された試験会場で行われる形式もあります。以下で詳しく見ていきましょう。

IELTS AcademicとIELTS general training

大学や大学院への留学を考えている人、英語圏での看護・医師の登録申請を考えている人はIELTS Academicを受けることになります。学業以外の研修・就労や移住申請の場合はIELTS general trainingの受験が推奨されています。

ReadingとWritingにおいてのみ内容が異なり、IELTS Academicではより学術的な内容が問われ、一般的にIELTS Academicの方がより難易度が高いとされています。(ListeningとSpeakingはほぼ同じ難易度の問題が出題されています)

IELTS for UKVI

英国ビザの申請時にも使用できる、英国政府から正式に認められた試験です。

試験形式は上記の通常IELTSと同じ(IELTS for UKVIの方が内容がより難しいとの話もあります)で、違うのは試験会場がより厳格化されているところです。日本ではブリティッシュ・カウンシルが運営しています。

英国内務省が認可したテストセンターで受験することになり、受験料も通常のIELTSよりも高額です。留学のために受験する方は、IELTS for UKVIのスコア提出を求められない限り特に受験するメリットはなく、受験する必要はありません。逆に、IELTS for UKVIのスコア提出を求められた場合は、通常のIELTSスコアは認められないので注意が必要です。

IELTS for UKVIのスコア提出を求められることがある例としては、条件付き入学のpre-sessionalコースやFoundationコースなどに求められることがあります。スコア提出先へしっかり事前に確認するようにしましょう。

IELTSのテスト内容

IELTSはWriting・Reading・Listening・Speakingの4技能を測るテストとなっています。4つのテストの合計所要時間は約2時間45分です。(Reading・Writingに関してはIELTS AcademicとIELTS general trainingで出題内容が異なります)

Writing・Reading・Listeningの筆記テストは同日に実施されます。各セクションの間に休憩時間はありません。Speakingは筆記テストと同日またはその前後6日以内に試験官と1対1で行われます。

特徴として、マークシート形式のTOEICや英検などと違い、IELTSではWritingだけでなくReadingやListeningにおいても空欄に筆記で単語を書いていかなければならないことが挙げられます。なので英語を見て理解できるだけでなく正しいスペルで書けるように練習しておく必要があります。

それでは各セクションの内容を、ポイントと気をつけるべきことも合わせて見ていきましょう。ちなみに、コンピューター受験ではListening→Reading→Writing→Speakingの順番で、ペーパー受験ではWriting→Reading→Listening→Speakingの順番になっています。ここではペーパー受験の順番で見ていくことにします。

Writing / ライティング

💡配点の高いTask2を優先して先に解いて、Task1は20分、Task2に40分使うようにするのがオススメ

💡テスト中消しゴムは使わず、(試験官に伝わる範囲で)矢印や注釈をつけたりして時間を無駄にしない工夫をすると◎

Reading / リーディング

💡答え方のパターンが色々あって注意が必要

Choose the correct letter, A, B, C or D.
(A,B,C,Dのうち正しいものを選びなさい。)

Choose TWO letters, A-E.
(AからEの中で2つを選びなさい。)

Choose NO MORE THAN TWO WORDS AND/OR A NUMBER.
(「2語以内の単語+数字1つ」あるいは「2語以内の単語 又は数字1つ」)

Listening / リスニング

Speaking / スピーキング

💡トピックからそれないように、決して曖昧なままで解答しないようにしましょう

💡パート3が一番困難ですが、即答は求められていないので繋ぎの言葉も覚えるようにしましょう

💡専門的な知識がなくても答えようとする姿勢が大事

IELTSのスコア

IELTSは0〜9までの数字(バンドスコア)で評価され、不合格などはありません。ここではIELTS独特の用語「バンドスコア」と「オーバーオール(OA)」について解説していきます。

バンドスコア

バンドスコアの満点は9です。4技能それぞれでこの評価がされます。

例:Writing 5.0, Reading 6.0, Listening 6.0, Speaking 5.5

オーバーオール(OA)

4技能全ての平均をオーバーオール(OA)と呼び、それがその人のIELTSスコアになります。4技能のバンドスコアを足して4で割った数で、小数点以下の数字が0以上0.25未満であれば切り捨て、0.25以上0.75未満の場合は0.5と換算、0.75以上は切り上げとなります。

例:Writing 5.0, Reading 6.0, Listening 6.0, Speaking 5.5 の場合
5+6+6+5.5=22.5→22.5÷4=5.625→小数点以下が0.25以上0.75未満なので0.5換算で「Over All 5.5」となります。

IELTSの試験方法と日程

IELTSの試験方法としては2種類あり、コンピューターかペーパーかを選ぶことができます。(2022年現在:オンライン試験についてイギリス公式サイトで可能性が書かれてはありましたが、今のところ実施されていないようです)

コンピューターかペーパーか

ペーパー受験は月に4回(木1回・土3回)で、年間最大で48回受けられます。コンピューター受験の場合は、ほぼ毎日開催されているところがほとんど(月曜は開催されていない所が多い)です。

コンピューター受験ではListening→Reading→Writing→Speakingの順番で、ペーパー受験ではWriting→Reading→Listening→Speakingの順番になっています。自分に合った、もしくは慣れた方を選びましょう。

どこでどの団体から受けられる?

IELTSを受けられる会場は実施元によって変ります。

日本でIELTSの試験を運営しているのは「英検」「JSAF」「ブリティッシュ・カウンシル」の3つの団体です。英検とJSAFが一般的なIELTSを実施しており、ブリティッシュカウンシルは主にIELTS for UKVIを実施しています。

英検は全国16カ所、JSAFは全国で10カ所(最新情報は公式ページで確認してください)で試験を実施しています。またブリティッシュカウンシルのIELTS for UKVIや、英検・JSAFのコンピュータ受験は東京・大阪の2拠点のみとなっています。

💡各団体で受験特典が異なっていますが、JSAFで受験するとwriting assistantという本来なら3500円かかる添削サービスを利用することができるのでオススメです。

英検では”Road to IELTS”と”2回分の模試と100問の練習問題”、ブリティッシュカウンシルでは”Road to IELTS”のみ特典がついてきます。

結果はいつわかる?

結果は、ペーパー試験の場合、試験当日から13日後。コンピューター試験の場合3~5日目にオンライン上で確認できます。

試験に必要な物

開催元によって多少の違いがありますが、必ず必要なのが「申し込みに使用した、試験日に有効なパスポートの原本」です。

飲み物の持ち込みは水(ラベルを外したもの)のみ許可されます。

その他、開催元によって違うのが、「試験日に有効なパスポートのコピー」や「筆記用具(持ち込み不可で貸出制のところが多い)」などが挙げられます。自分の受験する開催団体のサイトでチェックしましょう。

IELTSの有効期限

IELTSの有効期限は2年です。

IELTSを受けるメリット

IELTSを受けるメリットは沢山あり、事実年々その受験者は増え続けています。以下で詳しく見ていきましょう。

メリット1:海外高等教育機関で広く利用されている

IELTSは140カ国、合計11,000以上の世界中の機関で英語力証明として認定されています。アメリカやイギリスなどへの留学や研修の英語力証明をはじめ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどへの海外移住申請にも最適なテストです。日本国内での入試でも採用が広がってきています。

メリット2:ペーパー形式で試験を受けることができる

一般的に、海外大学や海外大学院に出願して英語力を証明する際、TOEFL iBTかIELTSどちらかで迷うことがあると思いますが、TOEFL iBTではコンピューター形式で受けるしか選択肢がありません。それに比べてIELTSではペーパー形式かコンピューター形式か自分で好きな方を選ぶことができます。コンピューター形式には、問題に直接書き込めないことやタイピングに対して不安を感じてしまう方もいるので、自分の慣れた方を選べるのは良いですね。

メリット3:自分の今の実力を可視化できる

IELTSは自分の今の英語力を測るのにとても適しています。他の英語の資格でも良いのではないかと感じるかもしれませんが、実は世界で通用する試験かつ、Speakingで実際に対面で実力を測ってもらえる試験はあまりないのです。

例えば英検だとSpeakingで対面で実力を測ってはもらえますが、ほぼ日本国内のみでの効力しかありません。また、TOEFL iBTはIELTSと同様に世界で広く利用されている試験ではありますが、Speakingは録音で1人で話すことになります。

英語は人前で話すことで一層培われるものですので、対面でのSpeakingテストは勉強にもなりますし、今の実力を可視化してくれます。

IELTSのおすすめ参考書・勉強法

IELTSの点数を上げるには、IELTSのテスト形式・テスト内容・評価基準に合った学習をしていく必要があります。

そして、IELTSのテストとして素晴らしいところ(であり厳しいところ)は、効率を追求した戦略的なアプローチの学習をしたとしても、最終的にはしっかりと実質的な英語力も鍛えてくれるところだと感じています。

ここではそんなIELTSの点数を効率よくあげていく方法をご紹介します。

おすすめ参考書

公式問題集

・旺文社「IELTSブリティッシュ・カウンシル公認・本番形式問題3回分」

・旺文社「IELTS 公認問題集」

・Cambridge University Press “IELTS 16 Academic Student’s Book”

・Cambridge University Press ”IELTS 公式ガイド”

公式の本番のテスト形式に乗っ取った問題集は非常におすすめです。時間配分に慣れることもでき、また出てくる単語のレベルなども肌で感じることができるので、自分の今のレベルと目標とするレベルの距離を身をもって感じ測ることができます。

その他問題・ガイド

・ケビン・ダン「スコアに直結IELTS徹底対策」

本番形式ではないものとしておすすめなのが、4技能セクションに対して細かくそれぞれに対する戦略や勉強方法などを教えてくれる、いわゆるガイド本です。本番形式の問題集を本番通りの時間配分で解いた後に自己採点をし、自分の不得意とするセクションにフォーカスを置いてガイドに沿って勉強すると効率がいいです。

おすすめ勉強方法

上記で既に勉強方法を少し紹介しましたが、それ以外の勉強法も合わせてここでまとめます。

全セクション

・本番形式問題集を本番通りの時間配分で解いた後に、自分の苦手分野を絞り、セクション別ガイド本orセクション別問題集でそこに集中して勉強をする。

・本番形式問題集を解いた後、その日のうちに解いた文中や問題文中に出てきた知らない単語を全て覚える。ノートに意味と共に書いていくと、後から見直しやすくなり良いです。

そしてもし可能であれば、知らない単語を調べる際に、英英辞典を使いその単語の意味も英語でメモしていくと、ListeningやReadingセクションで多発する同義語(synonym)や言い換え(paraphrase)にも強くなっていきます。

Writing / ライティング

データ説明に使えるフレーズをまとめるorまとめてある参考書(上記参照)を使う。

Reading / リーディング

要点をすばやく掴むため、スキミングの練習をするといいです。 スキミングとは、それぞれの段落の初めを中心にざっとみることで大体の内容をざっくり把握する方法を言います。(冒頭で本旨を述べている文を「トピックセンテンス」と言います)これは本番形式の公式問題集などで練習することができ、またBBCニュースなどの記事でもスキミングの練習ができます。

Listening / リスニング

聞きながら答えを書いていくことに慣れることが大切です。
上記で紹介したキーワードの同意語(synonym)や言い換え(paraphrase)をおさえていくことも大事です。

Speaking / スピーキング

トピックからそれないように、決して曖昧なままで解答し始めないようにしましょう。即答は求められていないので、繋ぎの言葉も覚えてゆったりと余裕を持って答えるように準備すると安心です。

海外の語学学校でIELTS対策コースに行く

これは一番即効力がある方法になります。その分お金もかかりますが、絶対にはやく英語力をあげたいと思う人におすすめです。IELTSの産みの親であるイギリスを含む各国の語学学校で、集中的にIELTSを学習することができ、また授業時間以外にも日常英語や新聞・テレビの実際に使われている英語に毎日自然に触れていくことで、Speaking・Readingなどの力が総合的に伸びます。

最後に

ここまでIELTSの基礎情報をざっと見てきましたが、IELTSのイメージを少しでも掴んでもらえたら幸いです。

人によってそれぞれ合っている試験や、合っている英語学習の方法などは違います。ぜひみなさんも様々な試験や学習方法を試しながら、自分にピッタリの物を見つけてくださいね。

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