IELTSのレベル・難易度ってどうなの?はじめて試験を受けてわかったこと
IELTS(アイエルツ)は世界で認められている英語の試験資格です。海外の大学や大学院へ進学する際にIELTSスコアを求められることは多く、また移住などでも必要になることがあります。
しかし、日本ではTOEICや英検など他の試験の方が身近に受けられていることもあり、IELTSの難易度やレベルのイメージを持てない方も多いはずです。本記事では、IELTSの難易度・スコアごとのレベルについて、実際にIELTSを初めて受けた筆者の目線と共に紹介していきます。
なぜIETLSは難易度が高い試験と言われるのか
日本人が慣れていないスピーキングとライティング
日本人にとって、ReadingやListeningは比較的馴染みがあるのではないでしょうか。中学校や高校、センター試験などで使われるテスト形式は大体この2つの形をとっていますね。この2つのテスト形式では「与えられたもの」をどれだけ理解するかが問われているように思います。
対して、IELTSではこの2つの形式に加えて、SpeakingとWritingが課せられています。この2つの形式では「自分の内から外に出す」、アウトプットの能力が求められていて、それは日本人にとって少し馴染みのないものになっています。
これらのセクションでは語彙力はもちろん大切ですが、それよりも文章の組み立て方や話の筋を瞬時に組み立てる力を問われます。
専門用語がたくさん出てくる
IELTSにはアカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールがあります。特に留学に行く人が受けるアカデミック・モジュールでは専門用語がたくさん出てきます。論文や大学の講義などの学術的なものが多く、日常生活ではあまり目にしないような英単語が頻出しています。
もちろん、全ての専門用語を把握しなければ全く解けないという訳ではありませんが、7.0~8.0などの高得点を狙う場合はしっかりと押さえていく必要があります。
IELTSを初めて勉強・受験して感じたむずかしさ
「では、本当にIELTSは難しいのか?」
実際に筆者がIELTSを初めて受験してみて、難しいと感じた点をご紹介します。
時間配分が難しい
IELTSはSpeaking、Listening、Reading、Writingと4つのセクションで構成されていますが、時間を気にしなければならないのはReadingとWritingです。どちらも60分。これをどのように時間配分して取り組むかでかなり点数にも影響がでると感じました。
Reading
Readingでは長文問題が3問あります。IELTS対策本にはよく「後ろの問題になればなるほど難しくなる」と書かれており、15、20、25で時間配分するのがいいと薦める本もあります。筆者個人の意見としては、「場合による」というのが正直なところです。
自分にとって馴染みのあるトピックなら、難しい語彙が含まれた文章でも楽に解けますし、逆に比較的簡単な語彙範囲の文章でも苦手な分野のトピックなら時間がかかってしまうからです。テストが始まってすぐに3つの長文の題名などをさっと見てみて、全体の雰囲気をつかんでから取り組むのがいいと思います。
Writing
Writingでは2問のTaskが出題されます。Task1はグラフや地図などを150単語以上で説明することが求められ、Task2では環境や教育などの様々なトピックについて250単語以上で意見を主張し根拠付けることが求められます。
Writingの時間配分もReadingと同じように色々な意見がありますが、よく目にするのはTask1に20分、Task2に40分かけるという物です。また、Task2の採点割合の方が大きいので、Task2から始めることを薦める本も あります。
点数配分の高いTask2から終わらせたらより安心するのか、それともそれだと残りわずか20分しかない中で手付かずのTask1を見て焦るというのであれば、Task1から終わらせて残り時間40分の時点で2問目に手をつけておくというのもアリだと思います。大事なのはどちらから始めた方が自分が心地よく焦らず取り組めるかということです。
解答方法がマークシートではなくて筆記型
IELTSは他の英語試験、例えば英検やTOEICなどとは決定的に違うところがあります。それはReadingやListeningでは、マークシート方式ではないことです。
英検はWritingではもちろん筆記となっていますが、Reading、Listeningでは4肢選択のマークシートとなっています。TOEICもそうです。それに対して、IELTSはWritingだけでなく、ReadingとListeningでも筆記型で、スペルをも気をつけなければなりません。
筆者はパソコンやスマートフォンの英語の自動訂正機能に慣れてしまっていたこともあり、とても苦戦しました。Listeningだと、単語の後ろに複数形のsがあるかないかでも正誤が変わってきますので、大変気を遣いました。
IELTSの各スコアのレベルについて
IELTSのスコアはバンドスコアと呼ばれ、1.0~9.0までの0.5刻みで表されます。合格・不合格はありません。4技能別(writing/ reading/ listening/ speaking)それぞれのバンドスコアと、それらを平均化した総合評価としてのオーバーオール・バンドスコアで表示されます。
ここでは各レベルがどれくらいの英語力を必要としているのか、他の英語試験とも比べながら見ていきましょう。(※あくまでざっくりとした目安となります。)
ReadingとListeningは自分で過去問を解き、その正答数(どちらも全40問)で大体の自分のバンドスコアを知ることができます。SpeakingとWritingは自身では、テスト前にスコアを知ることは難しいです。英会話講座や添削講座に参加するなどして自分自身のレベルをある程度知ることもできるでしょう。
IELTS 4.0~4.5の英語レベル
IELTS 4.0~4.5の英語レベルは、慣れ親しんだ会話や話題、簡単な文章なら理解ができ、ある程度の意思を伝えることができる。専門用語や複雑な文法が混ざると理解できないことも多い、といったレベルです。
IELTS 4.0~4.5のTOEIC・英検とのスコア換算
IELTS 4.0~4.5
英検準2級〜2級手前
TOEIC 450~550
IELTS 5.0~5.5の英語レベル
IELTS 5.0~5.5の英語レベルは、完璧ではないが、自分の言いたいことを不自由なく使える。専門用語や複雑な文法が出てくると間違えてしまうことがあるものの、自身の専門分野や慣れ親しんだ話題では簡単な語彙の中できちんとコミュニケーションを取ることができる。レベルにあります。
IELTS 5.0~5.5のTOEIC・英検とのスコア換算
IELTS 5.0~5.5
英検2級〜準1級手前
TOEIC 550~740
IELTS 6.0~6.5の英語レベル
IELTS 6.0~6.5の英語レベルは、おおむね英語を使いこなすことができ、慣れた分野の会話であれば、難易度 の高い単語や文法も使いこなすことができる。海外の大学が最低基準とすることも多いレベルです。
IELTS 6.0~6.5のTOEIC・英検とのスコア換算
IELTS 6.0~6.5
英検準1級〜1級手前
TOEIC 740~870
IELTS 7.0の英語レベル
IELTS 7.0の英語レベルは、優秀でバランスの取れた英語力があり、深い語彙力を持っていると言える。状況によっては単語や文法の間違いを起こすこともあるが、ほとんどのシーンでネイティブと会話ができ、複雑な言い回しにも対応が可能なレベル。TOEFL iBT®95以上に相当し、海外の大学院への入学には7.0〜7.5程度の英語力が求められることが多いです。
IELTS 7.0のTOEIC・英検とのスコア換算
IELTS 7.0
英検1級以上
TOEIC870~満点
IELTS 8.0~の英語レベル
IELTSの満点が9.0の中、8.0を取るというのは相当高い英語レベルを持っていて、非常に優秀な証です。英語のネイティブでも大体8.5くらいのスコアだと言われていることでも、その高さがわかります。ほとんどのシーンでネイティブと自然な会話ができ、あまり慣れていない会話であっても対応できる英語レベルです。
IELTS 8.0~のTOEIC・英検とのスコア換算
IELTS 8.0
英検1級を大幅に上回る
TOEIC満点以上
日本人のIELTSオーバーオール平均スコア
IELTSの公式サイトによると、2019年の日本のIELTS受験者のオーバーオール平均スコアは、以下のようになっています。
日本人平均スコア
アカデミック・・・5.8
ジェネラル・・・5.8
5.8というとほぼ6.0ということで、英検の準1級レベルの人が多いことがわかります。つまり、IELTSの受験者は、他の英語試験の受験者に比べてある一定以上英語に慣れた人たちが多く受けていることが伺えます。
逆に、現在日本の受験者のなかでIELTS7.0を超える割合は一桁となっており、IELTS7.0以上を得るのが簡単ではないことがわかります。
まとめ
ここまでに、IELTSの難易度・スコアごとのレベルについて紹介しました。これからIELTSを受ける人、もう受けたけれどスコアのレベル感が分からないでいた人の参考になれば幸いです。
IELTSは民間英語試験のなかでも、難しい試験であることは間違いありません。目標を定めて、IELTSの出題形式に慣れることをオススメします。
IELTSの試験形式などもっと基本的なことを知りたい方はこちらをご覧ください。